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*災害表現部ダイジェスト*
安寧を約束されたはずの国ハーロウ国。
とある日を越した瞬間に、地震が発生。王都の建物殆どを倒壊させ、城は炎上。
1時間後、突如嵐が襲う。
そのうちに河が氾濫を起こし、かつて第二隊が堤防の監視に行った辺りで堤防が決壊。下流域に河の水が流れ込む。
だがアルベルトは、かつての堤防強化により、河の西側は持ちこたえているのではないかと予測。東側は浸水しているはずだが、住民は開拓地へと移動しているため殆ど人が居ないはずと気付く。
その頃開拓地では土砂災害が発生。キーナ畑を山の方へ広く展開していたために、居住区への直撃はひとまずは免れていた。
王都の民の殆どは王都より出ていたため助かり、河周辺の農民、特に堤防の決壊したあたりの住民は開拓地へ追いやられるという形で居なくなっており、洪水によるはじめの被害を回避、開拓地でもかつてのスタイルを変更し畑を山側に、居住区を麓に変えたために難を逃れていた。
アルベルトはこれが偶然か? と疑問に思う。
 *

 ようやく、雨も小降りになった夕方、アルベルトは疲労に重くなった体を、もとは城門だったはずの瓦礫の上に預けていた。まだ、軍の出身者以外には王都内への立ち入りは認められていない。今も所々で何かが崩壊する音が響いているような状況だからだ。
「隊長」
 同じく疲れた様子を滲ませ、声を掛けてきたのはカルロスだ。先ほどまでは喧嘩の仲裁に向かっていたのだが、ここへ来たと言うことはそれも落ち着いたということだろう。恐慌状態が一段落すれば、悲嘆のあまりに周りが見えなくなる者も出始める。以前からそういったもめ事に慣れている第二隊が鎮静に向かうことになるのは、適材適所と言うべきか。
「どうした? 少しは休んできてもいいぞ?」
「いえ、……隊長に話が」
「?」
「ラウル、いないっすよね」


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